十八歳のとき働いていた
靴屋に向えば、雨しのぎ。
ひごろ心の中で思っていることが
ぼくをつくるのだとしたら
底のない海の奥深くに落下し続ける
あの箱をすくいあげないといけない
明るいところに住んでいる人たちが
メッセージとともにくれたもの
「その箱の中身は 光です」
受け取ったあと
開けようとしたけど開かなくて
気がついたら遥か下のほう
僕の暗闇へと落ちていった
どんなにたくさんの光をもらっても
ぼくの中の細胞が呼応しなければ
光は
光にならないんだ
落下し続ける箱を追いかけて
音のない漆黒の海へと潜る
地球の重力に従い正確に
そう
いまは落ちるべき時なのかもしれない
箱から溢れ出る橙色の光に心をひたせる時刻まで
暫くは明るいことに追われて。
一歩間違うと筒闇の世界。
半狂乱のときは人里を離れて叫び。
綴った日記だけ未来照らす花に渡せ。
月で狼になるとしたら
何度でも その姿を
確かめに行けばいい。
ずっと僻遠から呼んで、呼んで、
返事がかえって来なくなるまで。
十樹啝(ときわ) プロフィール
こんにちは!十樹啝(ときわ)です。
大切な御縁があり、詩、童話などを置かせて戴けることになりました。
瞳に光をさし耳を澄ませてゆっくり歩んでいきたいです。
「花束を渡しに行ける精神でありたい」